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丸吉優眠館 - 店長ブログ

“世界が認めたニッポンの居眠り”を読んで

DSC_0139今週読んだ本です。

題名からお判りの通り、電車などの公共の場で男性はもちろん女性までもが平然と居眠りをするのは世界を見渡しても日本くらいです。ここで言う居眠りとは読んで字の如し、そこに“居ながらにして”“眠る”ことを意味し、環境的に“昼寝”とは区別されています。

世界的には単相睡眠文化圏、シエスタ文化圏、仮眠文化圏と大きく3つに分けられ、仮眠文化圏はさらに“居眠り”と“昼寝”に細分化されます。

単相睡眠文化圏では睡眠は1日の夜に1回連続してとり、昼寝や日中のうたた寝は怠け者、人前で寝るべきでは無いという考えで、むしろ昼寝は病気になるなどの慣用句がある社会風習です。しかし、実際労働者の多くは、日中よくうたた寝してしまうようです。ただ、そのような社会では夜の睡眠が大事なので、夜に騒音を出さないなどの決まりがあります。しかしながら、産業の発展に伴って徐々に変化していることも事実です。

シエスタ文化はスペイン、中国、メキシコなどで、単相睡眠に対して、昼と夜の2回の睡眠、二相睡眠文化です。社会的に午前11時30分から15時まで2~3時間の睡眠休憩をとります。時間生物学的に総睡眠時間が短くでき、なおかつ体内時計が影響する昼の1時から2時の体温低下による眠気が解消され事故の減少、効率アップが認められています。しかし国際社会全体で見ると、他国との取引上問題も多く、だんだんその風習は失われつつあります。

仮眠文化圏はその名の通り好き勝手な時間に寝るという文化です。そもそもすべての生物は多相睡眠です。短い睡眠を1日に何回も取る習性になっています。実験では人間も短い睡眠を平均して何回も取る方が学習能力、作業能力がアップすることが解っています。しかしながら社会生活上そのような行動はとれないので、夜の連続睡眠が基本になっています。

最近の睡眠学の発展により、短時間のうたた寝は集中力や作業効率のアップが認められています。航空会社や鉄道会社は、会社全体として戦略的仮眠を進めていますし、一般のオフィスでも昼休みでの仮眠を義務付けているところが増えています。

こうしたうたた寝はオーストラリア、カナダ、北米ではモノクロニック的(物事を1つずつ処理していく方式)な現象と呼ばれています。つまり管理された時間内で、引きこもって眠り、その後仕事に戻る形です。人目をはばからず眠るのでなく、決められた時間、決められた場所(企業によってはきちんと昼寝部屋があります)で昼寝をすることです。

一方、日本やインドなどでは上記のような環境もあるが、一般的にはところかまわず眠る“居眠り”が多くポリクロニック的(いくつかの物事を同時に進行するが、必要ならばどれでもいつでも中断する方式)な現象です。

これは日本の生活文化が大きく影響しているようです。そもそも昔の日本の住宅環境では居間でTVをみながら食事をし、片付けた後布団を敷いて家族で川の字で寝ていました。つまり居間と寝室が共通だったのです。兄弟が多い場合などは、年齢が上の子供たちが親と一緒に団らんしている同じ部屋で、小さい子供は早めに床につくなど、狭い環境でマルチに生活していた文化です。

また、日本の治安の良さも居眠りの要因の一つです。海外では、電車などの公共機関で女性が寝ようものなら、危険極まりない行為として認識されています。

以上のように生活環境、住宅環境、治安などの要素が絡み合って日本独特の“居眠り”が発展してきたのです。


2015年06月06日



             
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