今週読んだ本です。この地球に生命が誕生し、進化し、現在にいたる長い歴史の中で、人は視覚の効く昼間に餌を取り、視界が悪くなる夜は外敵に襲われるなどの危険を避ける為身を隠すという行動を続けてきました。地球で生きていく為には太陽の光に同調しなければならなかったのです。ところが電球が発明され、ついに人類は太陽の光に頼らなくても24時間安全に活動することができるようになりました。昼はもちろん夜も人類の支配下になったのです。しかし一方で大きな不具合が生じました、睡眠障害です。生命体としての長い進化の歴史に比べれば、電球が発明され24時間社会となった歴史はたかだか200年ほど、人はDNAに刻まれた昼は活動し夜は休むという体を24時間に対応できるように進化できていないのです。それ故多くの睡眠障害が発生してしまいました。アメリカでは3人にひとりが、日本では5人にひとりが不眠症というデータが出ています。不眠症で最も怖いことは不眠自体で悩むことより、睡眠障害による日中の眠気により、社会的に非常に重大な事故を招くことです。アメリカのチャレンジャー号の離陸直後の爆発事故の原因は整備士の寝不足から起因していますし、記憶に新しい高速ツアーバスの原因も睡眠時無呼吸症候群によるものです。もちろん、睡眠不足からくる日中のだるさや倦怠感、精神的にイライラするなど、社会的生産性にも生活の質にも大きく影響します。そもそも睡眠とは脳や身体の疲れを取るということでは無く、高次に発達した大脳を休ませる一方でメンテナンスを行いリフレッシュさせる適応行動です。私たちは生きるために眠り、眠るために生きているのです。このように生きていく為の本能活動である睡眠がきちんととれないと様々な問題が発生することは言うまでもありません。ではどのような状態なら良くてどのような状態がダメなのでしょうか。それは目覚めのし易さ、日中の眠気の程度、夜間の入眠潜時(ふとんに入ってからどのくらいで眠りにつくか)の3つになります。朝決まった時間に起きられない場合は、前日の就床時間に影響されますが、どうしても起きられない病気が存在します。概日リズム睡眠障害といもので、本来リズム性のある睡眠―覚醒のリズムが不規則になってしまい、起床、就床時間がマチマチになってしまったり、睡眠相後退症候群になるとどうしても覚醒の時間が遅れ(後退)してしまい目覚めがお昼過ぎで社会的に怠け者のレッテルを張られ、生活に大きな支障が出てしまいます。日中の眠気は、その眠気が大きいほど睡眠時の障害が疑われます。睡眠時無呼吸症候群はもちろんですが周期性四肢運動障害や各種の睡眠時随伴症があり、本人の自覚のあるなしに関係なくきちんと睡眠が取れていない状態です。睡眠がきちんととれていない為日中の眠気につながり、我慢できず昼寝を多くとってしまった結果夜眠りが浅かったりする不眠の負のスパイラルに陥る場合もあります。また、ナルコレプシーという日中突然耐え難い眠気に襲われ、ところ構わす眠ってしまう病気もあります。入眠時の寝つきの悪さは精神的なストレスが影響を及ぼす場合が多いです。またそれに関連して、睡眠状態誤認といって、検査をすると科学的にはきちんと睡眠が取れているにも関わらず、本人の感覚では眠れていないとう状態もあります。さらにはむずむず脚症候群といった眠りに就こうとすると足や膝や腿に虫が這うような不快感を感じ眠りに就き難くなる病気もあり、上述した睡眠障害はれっきとした病気になるので、専門医の診察を受診すべきです。まだまだ記述しきれない睡眠障害がたくさんありますが、特に日中の眠気に関しては社会的に怠け者や気合が足りないなど、周りの理解が得にくい病気になるので生活を維持向上させるためにも、自身の睡眠を見直すことが大切です。
2014年12月19日
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