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丸吉優眠館 - 店長ブログ

“睡眠学Ⅱ”を読んで

DSC_1289今週読んだ本です。睡眠障害の症状を2010年に改定された最新の睡眠障害国際分類表(ICSD-2;International classification of sleep disorders,2nded)に沿って細かく解説されているとともに、睡眠障害における対応も記載されています。健康維持のために適切な睡眠はかかせませんが、寝つきが悪い、途中で良く目が覚める、起きられない、寝た気がしないなど睡眠に悩みを抱いていたり、何らかのトラブルを抱えている人はわが国では3人に1人と言われています。日中の活動による体や筋肉の疲れは休むことで軽減や回復が見込まれますが、脳の疲れ、特に現代人の大きく発達した大脳の疲れは睡眠をとらなければ回復しません。つまり睡眠は翌日の活動をきちんと行うために必須な行動なのです。ところが社会生活の中、仕事や勉強、運動や食事、友人たちとのコミュニケーションなど余暇を過ごす時間など、忙しい1日の中で時間的に最も多く削られるものが睡眠です。その為多くの睡眠障害がその程度に関係なく現代人を悩ませています。

実験では15時間起き続けたときと酒気帯び運転として90日免停を受ける時の注意力が同程度で、18時間連続覚醒では免許取り消しと同程度の酩酊状態であると出ています。このような状態で仕事や余暇を十分こなすことは難しく、さらに長時間覚醒は様々な健康障害の原因にもなります。睡眠不足はインスリンの分泌減少を起こし、血糖値の上昇を招き、脂肪細胞から分泌される食欲を抑制し代謝を促進するホルモンのレプチンを減少させ、逆には胃から分泌される食欲亢進ホルモンのグレリンを増量させてホルモンのアンバランスを招き、肥満になる機序が証明されています。人体には時計遺伝子が司る様々なリズムがあり睡眠と覚醒、体温変化、ホルモン分泌など規則正しく働いています。ですから規則正しい生活は体にとってとても自然な行為で寝不足や不眠を解消するまず第一にやらなければならない行動です。

さらに加齢による睡眠の変化について正しい知識を持つことも重要です。女性に多くみられる更年期は女性ホルモンのエストロゲンやプロゲステロンの分泌が急激に減少するため、ほてりやのぼせ、発汗などの自律神経症状、閉経による女性としての性の喪失感、イライラ、情緒不安定、抑うつ、不安などの精神症状が現れます。これらホルモンバランスの崩れから入眠困難、中途覚醒などの不眠症法を訴える人が多くなります。治療法としてホルモン補充療法がほてりや発汗の軽減を促し更年期の睡眠障害に有効との事例がある一方、冠動脈疾患、静脈血栓症などのリスクが高まるとの報告もあるので注意が必要です。更年期および加齢による睡眠の変化に対し非常に効果的でリスクが無いものは毎朝日光を帯びることです。目から入った光は視床下部の視交叉上核へ伝わり活動ホルモンのセロトニンを作り出します。一方睡眠ホルモンのメラトニン分泌を止めて体を活動状態にします。曇りや雨の日でもカーテンを開け外の光を体に浴びせることが重要です。特に冬場の日照時間が短い時は冬季うつ病といった疾患や睡眠における不定愁訴を訴える人が増えます。その場合高照度光療法という、光を発する機械で毎朝1週間程光を浴びて太陽光を浴びた状態にすることで不眠が解消されるケースが多くあります。高齢になると社会の一線から退くため外出する機会が減り日光を浴びる時間が減少します。また、通勤や仕事といった緊張感や、仲間との交流が減るため、体を覚醒させようという社会的因子と同調できなくなり、覚醒と睡眠というメリハリが無くなるため、夜の不眠を訴えるケースがあります。このようなことからも、平日休日関係なく規則正しい生活が高齢になっても不眠症状を回避する最も効果的でリスクのない方法です。

以上で通常の生活における不眠症への対策を述べましたが、自身の日中における激しい睡眠欲求やパートナーからの睡眠中の異常状況がある場合は迷うことなく専門医に相談し健康維持を図ってください。


2014年06月07日



             
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