2週かかって読んだ本です。睡眠の基本的なことと、睡眠の代表的な病気とその具体的な処置法、自らできる睡眠の改善法がちょっと難しく書かれていました。今までも書いてきましたが、人の眠りにはノンレム睡眠とレム睡眠という2種類があり、前者は大脳による大脳を休める為の睡眠、後者は大脳による記憶の整理や定着のための睡眠です。一般的にノンレム睡眠とレム睡眠が一つのセットになっており、そのセットが一晩で4から5サイクルします。一サイクルは約90分ですので、入眠後90分の単位で起床時刻を設定する…と目覚めがしやすくなります。ただ、ノンレム睡眠はその深度から4段階に分かれていて、特に深度3と4が最も深い眠りでこのタイミングに成長ホルモンが分泌されます。また、この深度3と4のノンレム睡眠は入眠後の最初か2回目のサイクルまでしか現れないので、質の良い睡眠とはいかにこの深度3、4の睡眠を得るかになります。アルコールを摂取すると眠気が起き、入眠しやすくなる一方、睡眠自体が浅くなりますので、実は質の良い睡眠がとりずらくなります。質の良い睡眠がとれないと成長ホルモンが分泌されないので、体の修復が行われず、健康に支障が出る場合があります。また、消化しにくい食事も胃に食べ物が残っていると体は一生懸命消化しようと働きますので、この場合も質の良い睡眠がとりずらくなります。基本的には入眠する3時間前までににはアルコールや消化が悪い食べ物の摂取を済ませておきたいところです。睡眠中には様々なホルモンが分泌されますが、代表的な睡眠ホルモンのひとつであるメラトニンは老化を防ぎ、免疫力を高め、ガンや心臓病の予防などアンチエイジング効果が確認されています。実際フリーラジカルのスカベンジャー作用、免疫賦活作用、抗アドレナリン作用、抗けいれいん・筋弛緩作用、抗高脂血症作用、血小板凝集抑制作用、抗エストロゲン作用、などがが確認されていますし、欧米では抗がん剤の副作用防止、白内障予防などをエンドポイントとした各種の治験が行われています。米国ではメラトニンは健康食品として簡単に入手できますが、日本では2010に武田薬品工業よりラメルテオンという名前で発売されました。睡眠導入剤としての効果がある一方で、副作用としてうつ病の危険性を2倍に高める可能性もあるので、安易な気持ちで手を出すことはとても危険です。睡眠の病気は不眠という一般的な物から、有名な睡眠時無呼吸症候群、むずむず脚症候群、ナルコレプシー、レム睡眠行動障害、周期性四肢運動障害、リズム障害、、過眠症、うつ病など実際とても多くの病気があります。もし、気になることがあればすぐにお医者さんに相談した方が良いです。東京からは少し距離がありますが、愛知医科大学病内に睡眠科が平成20年に設置され、これを機に将来に渡って標榜診療名の表記に睡眠科が作られるよう著者の宮崎先生はご尽力されていらっしゃるそうです。最後に自身で行う睡眠改善ですが、規則正しい生活と適度な運動、3食しっかり食事をとることやストレスをためないように、といった当たり前のことになってしまいます。ですが、手軽に改善できることは早起きです。昔からの言葉通り早起きは3文の徳です。そして起きる時間を休みの日も通常と同じにすることで、睡眠改善効果があります。夜は友人とのコミュニケーションや趣味など楽しく過ごしてストレスを発散したいですので、早寝は難しいかもしれませんが、早起きだけは気持ちの入れようで出来そうな気がしませんか?