今週読んだ本です。一日アップが遅れて失礼しました。一般的に聞かれるようになった睡眠の病気の一つ、睡眠時無呼吸症候群(sleep-apnea syndrome:以下SAS)ですが、日本で始めて大きな注目を浴びたのは、2003年に起きた山陽新幹線が岡山駅で停車位置を間違え、慌てた駅員が運転席に駆けつけると運転士が眠っていたという事故になります。その後の診断の結果、運転士がSASだったと診断されました。JRでは業務管理で睡眠時間の確保を義務付けしていたにも関わらず事故は起こってしまいまいした。このことから、睡眠は時間も大切ですが、その質も大変重要であることが裏付けられます。海外では日本より早くSASが認識されており、アメリカスリーマイル原発事故(1979年)、ロシアチェルノブイリ原発事故(1968年)、スペースシャトルチャレンジャー号の爆発事件(1986年)すべての事故が睡眠不足による人的ミスと原因の一つして検証されています。2008年11月には赤信号で交差点に進入し歩行者を死亡させてしまったトラック運転手がSASと診断されました。このように日常生活に重大な支障を及ぼす可能性のあるSAS患者は、潜在的に200万人ち考えられており、日本の総人口において20人から30人に一人の割合になります。
SASは睡眠中に何度も呼吸が停止し、そのため中途覚醒が何度も起き、睡眠時間の長さに対して深い睡眠がとれず、それ故日中、猛烈な眠気に見舞われてしまう病気です。通常私たちは呼吸をすると肺の中で血液に酸素が取り込まれます。酸素は血液中のヘモグロビンと結合し、血管を通って体の隅々まで運ばれます。この血液中に酸素がそれだけ含まれているかを表す指標を動脈血酸素飽和度と言い、通常の呼吸ではこの数値は96から100%です。意識して頑張って息を止めてもせいぜい95%、肺気腫などの肺疾患の患者さんで90%以下になると酸素吸入が必要になるくらい、高効率な生命活動の一つです。ところがSASの場合、呼吸が止まっている時間が長い時はこの数値が60%以下になってしまうことがあり、このため体内の生命維持活動装置が働いて、元来睡眠をつかさどる副交感神経委から活動の交感神経に切り替わり、睡眠を浅くさせ、脈を速くさせ、心拍数を上げます。このため、心臓、脳、血管にも負担がかかり、心筋梗塞、脳梗塞、糖尿病、高血圧などの病気を起こす要因になります。
SASを患ってしまう原因は、いろいろありますが、特にアジア系の人間は下顎が小さく仰向け時に気道の圧迫が起きやすいと言われていますので女性の方も注意が必要ですし、、小児の場合扁桃肥大などの病気がかかわる場合もありますが、一番は肥満による喉周りの脂肪の蓄積による気道の圧迫です。その為SASの予防は生活習慣の改善が一番で栄養バランスのとれた食生活、適度な運動など、規則正しい生活が一番です。SASによる影響は睡眠の質の低下によるさまざまな人体内の免疫力、再生能力の低下が起こり、SASを原因とする合併症も多くありますが、治療には多くのアプローチもあるので、万が一不安があるとき(目安は強烈ないびきと日中の眠気です)は、専門の病院に相談すると改善が見込まれます。社会生活を豊かにするためにも、ご自身の眠りに少し関心を持つと良いですね。
2013年04月20日
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