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丸吉優眠館 - 店長ブログ

“好きになる睡眠医学”を読んで

DSC_1261今週読んだ本です。睡眠障害の分類とそれらの項目に含まれる具体的な疾患そして各々の処置方法が記載されています。睡眠障害国際分類の第2版で睡眠障害は8種類に分類されますが、大きく分けると「眠れない」「昼間眠い、眠りすぎる」「眠る時間帯の問題」「眠っている間の問題」と4つにまとめることができます。睡眠障害といっても“眠れない”といういわゆる不眠だけでなく、自分では普通に睡眠をとっていると認識しているにもかかわらず日中の眠気が多いとかなんとなく元気がないといった場合は睡眠状態に何らかの問題や障害が隠れている場合がありますので、それらも睡眠障害として診療対象になります。

そして睡眠障害の裏にはうつ病が関わっている場合も多く、精神生理的な側面も常に考慮しなければなりません。

一般的に不眠は、「入眠困難」「中途覚醒」「早期覚醒」「熟眠感不足」と分けられます。

原因の多くはストレスによる単発的(短期的)なものですが、その後ストレスから解放されたにも関わらず眠れないという記憶だけが残り、その記憶が不眠の恐怖感をあおり不眠に至る精神衛生的なものもあります。また、実は良く眠っているにも関わらず本人の誤認識による逆説性不眠、1日8時間眠らないと不健康になるという間違った知識により、眠くないのに布団に入り悶々として眠れないと訴えるものもあります。これらの解決には正しい睡眠の知識を説明して安心してもらう睡眠衛生指導とよばれる処方を行います。また、心配事などがある場合はカウンセリングにより問題を解決する精神療法も行い、なるべく薬物を使用しない方法を説明しながら適宜薬物を処方する場合もあると患者さんの安心感を第一に考えて診療を行います。また、上記の用にうつ病が原因で不眠を患う場合もあるので患者さんの生活習慣全般を広く聞きながら対処していきます。

最近よく耳にされる睡眠時無呼吸症候群は睡眠中の時間当たりの無呼吸低呼吸数が何回起こるかによりその重症度が決められています。単位時間当たりの無呼吸数が15を超えると睡眠時無呼吸と診断され対処が必要になります。この診断は日中の眠気を訴える方が最も多く、家族の方からの睡眠中の無呼吸の報告で診断される場合もありますが、本人は自覚がないので非常に危険です。処置はマウスピースやCPAPという道具を使用しますが、共に違和感が多く装着しながらの睡眠は大変苦労しますので、原因となるメタボリック症候群による首や顎周りの脂肪過多や多量のアルコール摂取による筋肉の弛緩を注意すべきです。これとは別にナルコレプシーと呼ばれる睡眠発作という病気もあります。これは日中突然我慢できないほどの強烈な眠気に襲われ、ところ構わず眠ってしまう病気です。またクライネレビン症候群と呼ばれる病気もありこれは非常に眠気が強く1日20時間も眠ってしまう状態が周期的に表れるものです。不眠症はよく怠け者とか気合が足らないと思われ患者さんは精神的に苦しい立場に追い込まれますがこれらはれっきとした病気ですので周りの理解を得るとともに専門医に相談してしっかり治療されることをお勧めします。

次に眠る時間帯の問題ですが、この場合は睡眠自体は問題ないが眠る時間帯が標準とずれることによる障害です。もともと人の体内時計は約25時間ですので、太陽や時計、社会環境が感じられない場所で過ごすと眠る時間帯が1時間ずつズレていきます。通常は太陽の光や時計で体が24時間サイクルになるよう自動調節するのですが、何らかの問題により障害が起こる場合があります。高齢化による早寝早起きもその一つですが極端な場合を除けばこれらは問題ありません。一方遅寝遅起きの極端なものに睡眠相後退障害があり、これはどうしても夜眠れず明け方にやっと眠くなり普通の社会生活上の起床時間にはどうしても起きれない障害です。これも単なる怠惰なことでなくれっきとした障害ですのできちんとした治療が必要です。また、どうしても眠る時間帯を変えなければならい時もあります。

海外旅行時の時差ぼけや交代制勤務の場合です。特に交代勤務の場合は日勤、準夜勤、夜勤、休日といったサイクルが一番体にストレスがかからないので可能な限りこのようなシフトがの望まれますし、不用意に光を浴びて体内時計を狂わせないことも重要です。

最後は睡眠時に起こる様々な障害、睡眠時随伴障群(パラソムニア)です。小さい子供に多い眠っていたら突然起きて歩き回ったり、突然大声で叫んだり恐怖におびえるものは睡眠時有遊行症、驚愕症で原因ははっきりわかっていませんが様々な処方があるので専門医に相談すれば安心ですし大よそ成人になるにつれ症状は減退していきます。一方、むずむず脚症候群や周期性四肢運動障害といった大人でも発症する睡眠障害もあります。これらは睡眠中に足がむずむずしたり足首や膝がピクピクっと屈曲したりするためきちんとした睡眠がとれないものです。これはも専門医による処方で改善されますので問題がある場合はすぐに受診したほうが良いでしょう。

以上のように医学の発展は睡眠障害の解決にも日進月歩の進化が見受けられますので、睡眠をしっかりとって毎日元気良く生活したいですね。


2014年05月11日



             
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